ある商店にアルバイトとして勤めていたときの話しです。その商店では品物の配達サービスも行っており、そのお客様は過去にも配達を利用していたようで、今回も配達をお願いされました。
お客様はアパートに住んでおり、そのアパートには階段がありませんでした。店側は配達人の体力的な事情もあり、少し前からエレベーターの無いアパートやマンションへの配達をしないという方針を固めていたのです。
事情を説明し、配達は難しいという旨を伝えると、事前にその話しが伝わっていなかったお客様は激怒されました。事前に伝えていなかった店側にも落ち度はありますが、納得できないお客様はその場から動こうとはせず「責任者を呼べ」の一点張りです。
しかも間の悪いことにそのとき店長は不在でアルバイトしかおらず、バイト歴の長い自分が対応することになりました。店長に電話をかけ、すぐに来てもらうように連絡はしたものの、到着まではしばらくかかるということでそのあいだひたすらお客様に謝り続けました。
怒り心頭のお客様は当初、店長が来るまでは帰らないという姿勢を見せていましたが、しばらく時間がかかるということを知ると面倒くさくなったのか、急にお会計を済ませるように促してきました。
店内にアルバイトしかいないことをいいことに強引にお会計を済ませようと詰め寄ってきたのです。しかし、配達を行なうのか行わないのかによってお会計の金額は変わってくるため、無暗にお会計だけ済ませることはできません。
お客様は自分の言ったことに応じてくれないアルバイト店員の私にさらに怒りをあらわにし、私はそれに対してただひたすら謝りながら、お会計だけは拒み続け、そのやりとりは店長が到着するまで続きました。
責任者がいない場合ただ謝り続けなければならないクレーム対応
結果的に30分以上お客様に怒られ続け、その間私が打っていたレジも止まりっぱなしになりながら、店長の到着でどうにかその場は収めることができました。
自分の直接的なミスではないものの、お客様のクレームの矢面に立たされるのは常にアルバイトなのだなと社会の理不尽について思い知らされました。