例えば、就業はしていたけれど、ずっとこの会社でやっていくのも不安があるし……と、将来のことも考えて仕事をしながら転職活動をして無事、希望する転職先から内定をもらったとします。そうなると今、就業している派遣社員の仕事は辞めなくてはいけなくなりますよね。

そして、どちらかといえば、波風立てずに円満に退職したいと思うのが人情というものです。そりゃあ、派遣とはいえ今までお世話になった職場ですから、そう思うのが普通でしょう。いや、別につなぎでやってたから恩義なんてもんはないけどさ、なんて考えの人もいるかもしれませんが、それでもやっぱりトラブルなしで退職はしたいですよね。

でも、すぐにやめていいのか、というか、どうしたらいいのか、誰に相談すべきなのか? と迷いが出てしまうこともあるでしょう。

「最悪、トラブルを起こして退職することになった!」となると後味が悪くなるし、それ以前に「退職前に現在在籍中の会社に居づらくなってしまった!」など、取り返しのつかないことになってしまったら元も子もありません。

そんなわけで、今さらながら誰にも聞けない「円満退職をするためにはどういった手順を踏んだらいいのか?」をまとめてみました。

 

退職する時期はいつにするか、退職までのスケジュールを立ててみよう。

「転職先の入社日が決まったら、今すぐに現在の会社を退社しよう!」なんていうことは、実際問題、不可能です。そもそも退社をするということは、今の職場に欠員をつくるということになります。あなたが担当していた仕事は職場の誰かに振り分けられるか、もしくは欠員を補てんするために新しい人材を確保することになります。

前者であれば、引継ぎが十分に行われていないと職場の負担が増えることになり、後者であれば、上司が欠員補充のための調整を行うことになり、その場合だと、欠員代役の職員採用までに多少なりとも時間がかかります。

上記のことを踏まえて、円満退職をしたいと考えるのであれば、ある程度の余裕をもって退職の旨を会社に伝える必要がありますね。

退職を申し出る場合、法律では「14日前までに」と日にちが定められています。しかし、実際はそれぞれの会社の就業規則によって「○ヵ月までに申し出ること」と規定されているケースが多いので、申し出る前に前もって確認するようにし、厳守するように努めましょう。

そして、引継ぎなどを行ったり欠員補てんに時間がかかることを鑑みるに、最低でも「退職日の1.5~3ヵ月前」に退職を申し出る必要があります。

また、間違っても繁忙期に退職を申し出ることは、当然ながら避けた方が無難です。こういったことを念頭におきながら、イメージだけでもよいので退職までのスケジュールを立てておきましょう。

 

退職することを誰に言えばいいのか? どう切り出したらいいか?

退職の意志が決まったら、その旨を申し出る初めの相手は、自分の「直属の上司」です。先に同僚や「直属の上司」以外の立場の人に退職のことを話すのはNG。そうしたことによって、話がこじれてしまう可能性があるからです。

そして、「直属の上司」に退職の話を切り出す場合は、トラブルを避けるためにも他の誰かに聞かれないように、まず仕事場とは別の部屋(会議室や応対室など)で一対一で対話できるように調整してもらいます。話しの切り出し方の例としては「ちょっと相談があるのですが、お時間いただけませんか?」といった感じで「直属の上司」にアポイトメントを取りましょう。

この時、直接的に退職を匂わせるようなアポイトメントの取り方はしないように。上司が変に身構えてしまったり、同僚に「辞めたがっている」と思わせるのはマイナスイメージにつながり、円満退職から遠ざかってしまいかねません。

そして、退職の話をする時間帯は、日中や朝一に相談をする方がいいという意見もありますが、基本的には仕事が終わった時間帯にするとよいでしょう。その方が約束を取り付けやすいですし、業務終了後の時間帯に退職交渉をすることで、今の仕事も最後までやりとげる気があるという姿勢をアピールすることができます。

もし、シフト制だったり残業のない業務で、仕事が終わった時間帯に話をするのが難しい場合は、忙しくない時間帯にアポイトメントを取るようにしましょう。

 

退職する旨を、どのように伝えるべきか? うまい言い方はあるのか?

さて、直属の上司と一対一になったら、いよいよ退職交渉スタートです。と、その前に、退職交渉の際に気をつけておきたいことを押さえておきましょう。

 

○退職交渉で心がけたい4つのキホン

・今までお世話になったことを述べつつ、丁寧に。

・あくまでも報告ベースの姿勢で。

・曖昧な言い方を避ける。

・落ち着いて話すこと。

 

退職をしたいと上司に伝えることは、とても勇気がいるものです。しかし、唐突に「○日までに退職したいです」と強引に言い切ってしまうのも相手に失礼ですし、最悪の場合、怒りを買ってしまうこともありえます。

まずは、「今までお世話になったのですが」と前置きを添えてから退職交渉に入るとよいです。そうすることで上司に今までの感謝の気持ちを伝えることができますし、そのあとの言いにくい退職の話題も切り出しやすくなるからです。

また、退職の旨を伝える場合は、あくまでも報告ベースの姿勢を崩さないようにしてください。「えーと、退職を考えているのですが……あの、その」といった曖昧な姿勢で話を始めると、上司は「相談をしたくてこの場を設けたのかな?」と捉えてしまう可能性があり、退職交渉が難航する場合があるので注意が必要です。

そして一番肝要なのが、落ち着いて話をすること。そのためにも、きちんとした退職理由を事前に用意しておくのがベストです。しかし、現在の会社の悪口や就業条件にケチをつけるような理由を用意するのはやめましょう。あくまでも個人的で前向きな理由が望ましいです。

 

もし退職することを引き留められたらどうすればいい?

「君はわが社に必要な人材だから、辞めてもらうのは困る」もしくは「今の就業の条件をよくするから、辞めないでくれ」といった風に引き留めにあったら、誰でも一瞬は迷うでしょう。

優秀だから必要であると言われたり、また、就業条件に不満があって転職をした場合に改善案や待遇をよくすると聞くと、決意はぐらつくものです。しかし、ここで迷ったら、さらに強く引き留められる可能性は高まります。

ここまできたからには「この企業ではスキルアップが望めない」や「自分の本当にやりたい仕事がここではできない」といった、なにかしらの譲れない理由で転職をしようと決意した理由があるはずです。もう一度、自分の中で立ち返ってみて、思いが揺るがないようであれば、その理由を上司に伝えてみましょう。

また「もったいないお言葉、誠にありがとうございます。しかし、退職の意志は変わりません」と誠心誠意、感謝の前置きを述べて、退職の意志が強いことを伝えるのも一つの手です。

 

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