派遣会社に登録した後、営業コーディネーターさんから仕事を紹介されて、紹介先企業の仕事内容や就業条件が自分の希望とうまくマッチングしたら、契約を交わして晴れて派遣先に就業する……というのが派遣社員の就業の流れです。

しかし、その際、自分にとっての上司というのはどこからどこまでの人を指すのか迷ったことはありませんか? ネットで調べてもきちんとした答えがなかなか見つからなくて、実際はどうなんだろうと考え込んでしまう人もいるかもしれませんね。

では、実状はどうなのでしょうか。そんなわけで、今回は派遣社員の上司についてまとめてみました。

 

雇われて仕事をするときに発生する『関係』を理解しよう。

雇用関係」と「指揮命令関係」について

本題に入る前に、雇われて仕事をするときに必ず発生する『関係』について把握しておくと、あとあとの話が分かりやすくなるので説明しておきます。

誰かに雇われるときには、お互いに「働くときの契約」というのを結ぶのが常です。そして、その『契約関係』の形態もいろいろなものが存在します。

代表的なのが、企業(雇い主)と正社員もしくはパートなど(労働者)の二者の関係ですね。派遣の場合だと派遣元企業(雇い主)と派遣先企業(指揮命令者)と派遣社員(労働者)の三者の関係になります。

働くために会社(雇い主)に雇われた場合、通常であれば、働く人(労働者)と会社(雇い主)の間には「雇用関係」と「指揮命令関係」ができます。会社から仕事の命令をもらって業務をこなし、その対価にお給料をもらうという関係です。

そして、上記とは違う『契約関係』の形態でも、必ず「雇用関係」と「指揮命令関係」という『関係』は発生します。

 

派遣社員になった場合の「雇用関係」と「指揮命令関係」はどうなるのか?

派遣社員になった場合の給料は、登録した派遣会社から支給されます。また、社会保険も派遣会社を通して加入することになります。となると、派遣社員の雇用主(雇い主)というのは派遣会社ということになります。

「じゃあ、自分の上司は派遣会社の社員の人で、派遣先の企業の人は上司ではないんだな」と思いがちですが、それは誤りです。あくまでも派遣会社(派遣元)というのは派遣社員にとっては雇用主で、「雇用関係」だけを結んでいる関係なのです。

そして、実際に仕事をするのは派遣先の企業なので、派遣社員は、派遣先企業の社員に指示を仰ぐことになります。この場合の「指揮命令関係」は派遣先企業と派遣社員の間に生まれる関係なのです。

派遣労働の場合、派遣会社(雇い主)と派遣先企業(指揮命令者)の間では、「労働者派遣契約」というものを結びます。そのときに交わす契約書には、派遣先の『指揮命令者』がいったい誰なのか明記する義務があります。

そして、その『指揮命令者』というのが、派遣先企業で派遣社員の仕事の指導を行う「直属の上司」ということになります。

蛇足になりますが、先ほど明記したとおり、派遣先企業と派遣社員で「指揮命令関係」を形成しているため、業務に関する命令を『指揮命令者』以外の派遣先の社員からもらうこともあります。その場合、基本的には『指揮命令者』直属の部下である派遣先の社員から業務の命令を貰います。

 

まとめ

派遣労働となると派遣会社(派遣元)と派遣先企業と派遣社員という三者の関係をもって業務を動かすことになるので、派遣社員にとっては「実際の上司って誰?」と迷うことはよくある事です。

業務命令を下すのは必ず派遣先企業なので、その企業の『指揮命令者』が自分の直属の上司であると認識してよいです。派遣会社でもらった雇用契約書にも『指揮命令者』の項目があり、派遣先企業の上司の氏名が明記されています。

派遣労働の形態というものは上記のとおりの三者がかかわっているので、その関係性がちょっと複雑に見えがちですが、派遣で働く場合は、もしものトラブルを回避するためにも自分がどういった立場で働いているのかを認識しておくのは必要なことです。

なにか相談するときも、自分の立場が分かっていた方が、派遣会社や派遣先企業に相談しやすいですし、見当違いな相談をしてしまうのを避けることもできますよ。

 

 

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