非正規雇用の就業形態が多様化していく中で、一生正社員にはなれずに非正規雇用のままの人も実際にいるはずです。
それでは一生非正規雇用であった場合に老後の生活はどうなるのでしょうか?
予測し得る事態と脱却の方法について触れていきましょう。
もらえる年金の額が少ない
非正規雇用で一生国民年金だけの場合、厚生年金の分がないだけのもらえる年金受給額が少なくなります。
国民年金は平成28年の価格で40年間満額納めてももらえる金額は780,100円です。
この金額は物価の変動などによって見直されますが、最近では減る一方で大幅に上がることは望めません。
月額に換算すると65,000円くらいです。
これだけでは生活費が足りずに老後も働く必要が出てくる場合もありそうですね。
生涯年収が低くなる
非正規雇用である場合には正社員で働く場合と比べて、昇給、昇格、ボーナス、などがありません。
正社員雇用の場合に受けられる可能性が高い退職金などもないことがほとんどですね。
私傷病で労務不能になった際の傷病手当金などもないので、一生涯でもらえる金額が少なくなります。
雇用が不定期で仕事のない日も多く、年収も圧倒的に少なくなってしまいます。
それだけ貯金もしにくく、老後の生活が苦しくなることが予想されますね。
就職先が限られてくる
非正規雇用であるとなかなか正社員への転職は難しく、できる仕事や採用される職務の範囲も限られてきます。
老後に年金だけでは足りないからと働こうと思う際にも、これまでの職歴から同じような非正規雇用であるなど、低賃金の職にしか就けない可能性が高いです。
なかなか収入の増加は難しいということになります。
非正規雇用であっても社会保険への加入を目指そう
非正規雇用で社会保険に未加入であると生涯年収が低く、年金の受給額も期待できません。
可能な限り、非正規雇用から正社員に転職したいところですが、それはなかなか難しいです。
しかし、非正規雇用の派遣社員などであっても、労働時間が正社員と同様の場合などは派遣会社の社会保険に加入することができる場合があります。
その場合は当然厚生年金にも加入できます。
元々、フルタイムではなくとも正社員の労働時間の4分の3働いていれば、アルバイトやパートでも短期の雇用でない限りは社会保険の加入対象です。
また、社会保険への加入要件も平成28年10月に改正があり、加入対象者の範囲が広がっています。
具体的には以下の通りです。
・1年以上雇用される見込み
・1週間の所定労働時間が20時間以上
・賃金が月額8,8000円以上
・学生ではない
(従業員501名以上の会社に雇用されている場合)
正社員への転職がいきなりでは無理でも、非正規雇用の状態での社会保険加入をまずは目指してみてはいかがでしょうか。
会社の健康保険、厚生年金に入るだけでも老後にかなり差が出てくるでしょう。