派遣社員として働きながら日本の各地を巡っていた経験があります。やって来た職種は様々ですが、今回は特に嫌な思いをした倉庫内作業のことについて紹介します。
ある大手アパレル系インターネット通販の倉庫で、出荷に関わる業務を行う派遣社員として勤務をしていた時のことです。
勤務初日に私を含めて7名の派遣社員が、職場見学を兼ねて倉庫内及び施設全体の仕様についての説明をクライアント側の社員から受けていました。2時間ほどのレクチャーが終了したところで、もう少しで昼休憩の時間になったため、私達は社員の案内で社員食堂に案内されて、各自で自由に食事を採るようにとの指示を受けたのです。
私達は何となく遠慮から社員食堂の端の方に固まって腰を降ろし、互いに自己紹介をしながら各々が持参した食事を食べ始めました。食事を開始してから5分も経たないうちに午前の仕事が終わるチャイムが建物内に鳴り響き、倉庫から従業員達の群れが雪崩れるように、私達のいる社員食堂に押し寄せてきました。
作業員の年齢は10代から70代位に見える人もいて幅広く、男女比は半分づつぐらいで全体の7割程は派遣社員のようでした。数少ない正規社員はくすんだ緑色の作業服を着ていて、クライアント企業と直接雇用関係にあるアルバイトやパートさんは揃いの赤いエプロンをしています。
派遣社員は各自がバラバラの自前の普段着のため、見た目ですぐに区別がつくようになっていたのです。私達の座る席の近くに見るからに感じの悪そうな40才から60才位の中年の女性が数人近づいてきて、こちらに向かって口々に言いました。
「その席は派遣さんの座る席じゃないから向こうに行ってもらえる?」彼女達が向こうと言って指し示した先には食堂全体の半分もないスペースで、押しくらまんじゅう状態で食事を摂ろうとしている派遣社員達でした。
派遣社員のなかには席に座りきれずに立ってパンをかじり出す者もいます。赤エプロン達の席はスペースに余裕があり、まだまだ人が座れる状態でした。
職場によっては雇用形態を見える形のところがある。そこからの亀裂があることも、、、
数多くの派遣会社で働いてきた私は、不当な扱いには慣れているつもりでいましたが、この時ばかりは我が目を疑いました。
全体の1割もいない正社員は惨状を見て見ぬふり、パートの中年女性が静まり返る食堂で一際、大きな声で派遣社員の品定めをしていました。後から上司に聞いた話では社員よりも古参のパートが多く、誰も意見をする人間がいないそうです。