5年半海外を回った結果「日本で生活するのは合わない」という結論に達した私は意を決して、自動車製造工場の期間契約社員生活を始めました。
事前情報として「死ぬ程こき使われる」「期間工に人権なんて無いも同然」などのネガティブな情報だけが耳に入っていたので、そうとう緊張しながら赴任地へ赴いたことを覚えています。「上場企業が人権無視する訳が無い!」赴任する際に思っていたのは、「上場企業が人権無視する訳が無い」と言うことでした。
会社を挙げてそんな非生産的なことをしていては事業が成り立ちませんし、ガバナンスにうるさい現代で、いくら期間工といえども人権を蹂躙されるようなことは無いだろうと思い緊張を納めるようにしました。赴任すると安全教育や現場教育機関が、一週間程度設けられています。私は現場への赴任日に半日先輩工員の指導を受けただけで、ラインを任されることになりました。
内心「マジでかっ!?」と思いましたが、人手不足の業界だからこそ破格の待遇で期間工の募集が行われているわけで、しょうがないことだと思います。完全に慣れるまでに約3ヶ月の時間を要し、その間に「不具合」も出してしまい訳も判らないまま怒られる経験もしました。
しかし、怒っている側も誰が何時赴任してきたのかは把握しておらず、工業製品として不具合が起きていることを怒っているだけで、他意はありません。現場では「出来ているか、出来ていないか」しか結果が無いので、嫌な思いや悔しい思いをして腐っているヒマに自分の工程での精度を上げていくしかないのです。考え方を切り替え時間が経過し、作業にも慣れてしまえば周りの見る目も変わってきます。
私が個人的に恨みでも有るんじゃないか?と思うほど辛く当たっていた人間も、随分フレンドリーに接してくるようになり、職場環境は好転しました。有給消化の優先順位は正規雇用、非正規雇用に関わらず、子供の居る妻帯者、妻帯者、年長者の順番で優遇され、若い正社員に「彼女と旅行行きたいんで頼みます!」などと頼まれて有給消化を譲ってやると、次の機会に譲り返してくれる状態でした。人間関係が良好になれば、働き易い環境の職場でしたのでこのまま期間工生活も良いのでは?と2年の契約終了時には悩んだものです。
期間工だから海外移住の資金が貯められた
結局海外での生活に戻ることにしました。念願の海外での独立開業資金を得る事ができたのです。2年間の非正規雇用での就労でしたが、起業して現在までここアジアの地での生活の基盤を造る大きなチャンスを得られてたことに感謝しています。短期でまとまった貯金が必要な方には、自動車工場の期間契約社員はお勧めの就労環境です。
[st-card id=522]