平成26年の10月1日から雇用保険の教育訓練給付の内容が拡充されました。
新しい制度では教育訓練給付の中では厚生労働大臣が指定した専門実践教育訓練にあたる講座について給付割合の引き上げや追加支給があります。
新たな資格取得などを考えている人の中には給付の対象になる場合があり、大変お勧めの制度です。制度内容に詳しくなって賢くキャリアアップしていきましょう。
目次
そもそも教育訓練給付って何?
教育訓練給付とは雇用保険の制度で、雇用保険への加入期間が一定期間ある人が厚生労働大臣の指定した講座を受けた際に受講費の一部が支給されるという制度です。
これまでは雇用保険への加入期間が3年ある人(当分の間初めての場合は1年以上)が指定の講座を受講した際に、受講費の20%が(上限10万円、1回限り)支給されるという仕組みでした。
この制度に加えて今回専門実践教育訓練という新たに制度が追加されました。
・これまでの制度→一般教育訓練
・追加された制度→専門実践教育訓練
専門実践教育訓練の対象となる人
専門実践教育訓練給付の対象となる人は雇用保険の加入期間が原則10年以上ある人が対象ですが、当分の間は初めての人は2年以上であれば対象になります。
受講開始の1カ月前までにハローワークで訓練前キャリアコンサルティングを受けてジョブカードの交付を受けていること、受給資格確認票等の必要な書類の提出をしていることが必要です。
専門実践教訓訓練の給付金の額とは
訓練費用の40%(年間32万円を上限とし、最長3年まで)が支給されます。
給付期間は原則2年ですが資格につながる場合は最長3年までです。
訓練を終了して資格を取得し、修了から1年以内に就職につながった人は訓練費用の20%が追加支給されます。
これらは合計して年間48万円、最大で144万円が上限とされています
また失業給付の受給資格を満たしており、45歳未満の離職者である場合には訓練期間中、雇用保険の基本手当の日額の半額程度を2カ月ごとに給付されます。
専門実践教育訓練の対象講座
それでは実際にどんな講座が専門実践教育訓練の対象の講座となるのでしょうか。
1.業務独占資格、名称独占資格の取得を訓練目標とする養成施設の過程
(訓練期間は1年以上3年以内)
対象となる業務独占資格
助産師、看護師、准看護師、診療放射線技師、林経検査技師、理学療法士、作業療法士
歯科衛生士、美容師、建築士、電気工事士など
名称独占資格
保健師、調理師、栄養士、介護福祉士、社会福祉士、精神保健福祉士、保育士など
2.専門学校の職業実践専門課程
専修学校の専門課程のうち、文部科学大臣が認定したもの
3.専門職大学院
高度専門職業人の養成を目的とした過程
これからのキャリアアップのために専門の学校通って資格を取得したいという人にはぜひおすすめの制度なのですね。
専門実践教育訓練のメリットとデメリットとは?
さて、内容が拡充され追加で制度が設けられた専門実践教育訓練ですが、この制度を利用することによるメリットデメリットにはどんなものがあるのかをご紹介していきましょう。どんな人におすすめの制度なのかについても触れていきます。
制度利用のメリット
専門実践教育訓練のメリットは以下のようなものです。
・資格取得の際の受講費用の一部が支給される
・資格取得のモチベーションを維持できる
・資格取得のきっかけになりキャリアップにつながる
・資格取得により転職、年収アップにつながる
資格を取得して専門的な仕事に就きたいけれど受講費用が高いと思っている人にはぜひ利用を検討してほしい制度です。
資格を取得することによって就くことができる職業もたくさんありますので、キャリアアップするための良いきっかけになることでしょう。
制度利用のデメリット
それでは専門実践教育訓練のデメリットにはどんなものがあるのでしょうか。
・ある程度の雇用保険の加入期間がある人でなければ利用できない
・資格の専門学校に行ける人でなければ利用できない
・フルタイムで就業中の人には利用しにくい制度である
この制度は専門的な資格を取得する際の講座を受講する際に利用できる制度になっています。
毎日会社に行ってフルタイムで働いている人には利用が難しい制度でもあります。
しかし、資格の学校には夜間などの学校もありますので働きながらでも要件に該当する場合はあります。
例えば現在准看護師として働きながら、夜間の学校で学んで看護師の資格取得を目指して、厚生労働省の指定の講座を受講する場合には該当します。
その場合も当然、事前にハローワークを通した申し込みやジョブカードの交付などが必要になりますので注意してください。
専門実践教育訓練はこんな人におすすめ
専門教育実践訓練は文字通り、専門的な教育訓練を受ける人が対象なので以下のような人におすすめです。
・専門職の資格取得を目指す人
・新たに資格を取得して未経験の職種に転職したい人
・専門職の資格取得に挑戦したいが受講費用が高くて困っている人
・45歳未満、失業給付を受給中で資格の取得を目指したい人
転職がうまくいかずに困っている人はこのような制度を利用して資格を取得してみると職業の選択肢が広がるのではないでしょうか。
自分にはアピールできるスキルがない、正社員での転職ができないと悩んでいる人はこのような制度を利用して、ぜひ資格取得によるキャリアアップを目指してみて下さい。