最近では契約社員、派遣社員、パート社員、アルバイトなど非正規雇用など働く形態も多様化してきました。
実際に非正規雇用と正社員の社会保障では何が違うのでしょうか?
どんなところが違うのかについてご紹介していきましょう。
目次
派遣、非正規でも労災は雇用形態に関わらず適用される
労災は正社員でも契約社員でもパートでも、当然適用の対象になります。
労災は働いて賃金を受ける労働者であれば、アルバイトでも適用される労働者のための保険なのです。
仕事中のケガの場合は会社に申し出て必要な手続きを行いましょう。
派遣労働者である場合は派遣元の会社にて手続きをすることになるので注意してください。
派遣、非正規雇用での雇用保険の適用とは!?
雇用保険は正社員、非正規雇用の雇用形態の名称に関わらず以下の条件を満たしていれば加入手続きの必要があります。
・雇用保険の適用事業所に雇用されている
・1週間の所定労働時間が20時間以上ある
・31日以上引き続き雇用される見込みがある
日雇い労働者や短時間のアルバイト以外はたいていの労働者が当てはまるのではないでしょうか。
アルバイトだから雇用保険に加入しないという事業主もいるかもしれませんが、自分が加入適用者なのではないかと疑問に感じたらハローワークに相談に行ってみましょう。
会社自体が雇用保険年加入手続きを行っていない可能性もあります。
しかし、労働者が常時5人未満の個人経営の農林水産事業以外の事業者は雇用保険の強制的事象所なのでよく覚えておきましょう。
派遣や非正規雇用でも育休は取れるの?
パートや契約社員だから育休は取れないと思い込んでいる人も多いかもしれません。
しかし、非正規雇用であっても以下の条件にあてはまる場合には育休の取得対象になります。
・休業開始時において同一事業所のもとで1年以上雇用が継続している
・子が1歳6か月までの間に労働契約が満了することが明らかでない場合
また、男女雇用機会均等法により妊娠や出産により労働者は解雇されてはならないとされています。
これは当然パートなどの非正規雇用者にも適用されることになっています。
つまり、非正規雇用者も妊娠したからといいって契約期間満了までは雇用される権利があるのです。
妊娠がわかったからと不利益な取り扱いを受けるのもマタニティハラスメントに当たるために事業主はすべきではないとされています。
派遣社員、非正規雇用でも健康診断は受けられる?
年に一度の定期健康診断は正社員だけの権利でしょうか?
非正規雇用者であっても以下に当たる場合には常時使用する労働者として健康診断を実施するべきとされています。
・1年以上使用されることが予定されている、又は更新により1年以上使用されている
・1週間の所定労働時間が通常の労働者の4分の3以上であること
1年以上使用が予定されている者、および更新により1年以上雇用されている者については
通常の労働者の2分の1以上の労働時間である場合も実施することが望ましいとされます。
つまり、アルバイトでもある程度の期間雇用されている人は対象になるということですね。
派遣労働者の場合には派遣元の会社で健康診断を実施することになっています。
非正規雇用では社会保険への加入条件はどうなっている?
社会保険とは厚生年金保険と健康保険のことをいいますが、ここに加入できるのかどうかは正社員と非正規雇用の大きな違いであることも多いです。
社会保険へ加入するために条件は以下の通りになっています。
<労働時間について>
・所定労働時間が一般の社員の4分の3以上である
<雇用期間について>
・日雇い労働者→1カ月以上引き続き雇用されるようになったら加入
・雇用期間が2カ月以内→所定の雇用期間を超えて引き続き雇用されるようになったら加入
・季節的業務で雇用期間が4カ月以内→4カ月以上継続して雇用される場合は当初から加入
・臨時的業務で雇用期間が6カ月以内→6カ月以上継続して雇用される場合は当初から加入
しかし平成28年10月から以下の人も加入対象者になり範囲が拡大されました。
・常時501人以上の企業に勤めていること
・1年以上雇用される見込みである
・賃金の月額が8.8万円以上であること
・1週間以上の労働時間が20時間以上
・学生ではない
自分はパートやアルバイトだと思っていても加入条件に当てはまるケースは多いのではないでしょうか。
社会保険に加入することで社会保険料を給与から天引きされてしまいますが、健康保険と厚生年金保険にも加入できます。
またその社会保険料の半額は事業主が負担することになるので長い目で見ればメリットがあると言えるのではないでしょうか。
更に、国民健康保険と違って会社の健康保険には傷病手当金があります。
傷病手当金は私傷病で労務不能になっても医師の診断があり、連続して3日を超えて無給で会社を休むと最長で1年6カ月の傷病手当金が受けられます。
他にも健康保険組合によっては付加的な給付がある場合もあり、国民健康保険よりは優遇されていることが多いです。
会社が社会保険適用事業所でない場合もあるので注意
しかしながら、社会保険に加入するためには会社が社会保険の適用事業所である必要があります。
社会保険の適用事業所は以下の通りです。
・法人である事業所
・常時5人以上の従業員を雇用する個人事業所
しかし、以下業種については5人以上従業員がいても社会保険への強制適用はありません。
・農林水産業
・サービス業(飲食、美容、旅館、宿泊業、映画、娯楽業、会計事務所など)
会社が社会保険の適用事業所でない場合には自分で国民年金と国民健康保険に加入手続きを行わないといけません。
非正規雇用でも年末調整はしてくれるの?
毎年12月になると給与の支払いを受けている人について給与の支払者である会社が年末調整をしてくれます。
払いすぎた所得税は還付されたり、足りない場合は追加で徴収されたりします。
この年末調整は1年間を通じて勤務している人や年の途中で就職して年末まで勤務した場合には行うこととされています。
当然契約社員やパートなどの非正規雇用者も年末調整を受けることができるのですね。
しかし、年の途中で退職してしまい、年末調整をされない場合もあります。
その場合は翌年に自分で確定申告をする必要があります。
引かれすぎた所得税が還付される場合もありますので、忘れずに行うようにしましょう。
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